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♯00.Prologue
「お願いだから、早まらないでっ!」
彼女の第一声がそれだった。
今思えば、あの日の出逢いがあったから、俺は王子としての誇りを取り戻せたのかもしれない。
彼女はあの日。スカートの裾が濡れる事などお構いなしに、こちらを目指してバシャバシャと水面を揺らし、駆け寄って来た。
慌てふためく彼女を見て、一瞬だけ、時が止まった。そこからスローモーションに動き出し、脳裏へ深く刻まれた。
彼女の存在が、俺の濁った視界に彩りを与えたんだ。
***
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