3780人が本棚に入れています
本棚に追加
「良かったです。では応接室へどうぞ、美山様」
「あの……その呼び方、なんとかならないですか? すごく堅苦しいし、私なんかに『様』はいらないです。もしくは下の名前でも……」
「いえ。私は雫さんなどとお呼びすることはできません。では、お言葉に甘えて美山さんと……」
雫っていう名前は覚えてくれたんだ。
ちょっと嬉しい。
「はい。それでお願いします。ありがとうございます」
私は、また微笑んだ。
応接室に入って、ソファに座るよう促され、前田さんはロイヤルミルクティーを出してくれた。
とても高価な物なんだろう、白を基調にして小さく可愛いお花の絵が入った素敵なティーカップだ。
それだけでリッチな気分が味わえた。
「どうぞ、この前と同じものですが」
「良い香りですね。またいただけるなんて嬉しいです。本当にありがとうございます」
「喜んでもらえてなによりです」
1口飲んだら、幸せが口の中に広がった。
「ホッとします。何度いただいてもすごく美味しいですね」
最初のコメントを投稿しよう!