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前田さんは力説した。
「榊社長さん、本当にすごい人なんですね」
「はい。すご過ぎて……大尊敬です。私なんかは人として足元にも及びません。誰よりも頭が切れて、あんなにイケメンで……それでも気取りがないというか、威張らない人ですね。社長は、自分のことを『厳しいだけの情がない人間』だって、前に私に言ったことがあります」
「厳しいだけの……情がない人間?」
「はい。そう言われた時、私は社長に言いました。あなたのおかげで私達家族は救われたんです。情がない人間なんかじゃない。私は、あなたのためなら何でもします……と」
前田さんの表情がキュッと引き締まって見えた。
「社長さんに救われたって……何かあったんですか?」
プライベートなことだとは思った。
これ以上聞いて、立ち入っていいのかわからなかったけど……
私は、祐誠さんのこと、もっと知りたいって思った。
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