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「どうやっても立ち行かない資金繰りに頭を悩ませ、私まで心を病んでいたと思います。そんな私のことを母もすごく心配していました。それで……とうとう……店を手放すことにしたんです」
「そんな……大切なお店を手放すなんて、お母様もつらかったでしょうね」
「はい。私に隠れて泣いていました。自分のせいだと責めて泣く母を見ているのは、死ぬほどつらかったです。なのに……私は家族と店のために何もできなくて。情けなくて、ダメな自分に心底腹が立ちました。そんな時です」
前田さんは、悲しい表情を一変させた。
「榊社長から、たまたま茶葉――今飲んでいるこのロイヤルミルクティーですが、この茶葉を注文したいと電話があったんです」
「直接、社長さんからですか?」
「そうなんです。以前から個人的に好きなのでと、いつも注文してくれてたんです。その時は母が電話に出て、店を辞める話をしました。そしたら……」
前田さんは、急に胸の辺りを押さえた。
「大丈夫ですか?」
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