《S.T.》

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 声を上げて泣き叫んでいた。  叫んでいたんだ。誰にも届かない、声は、音じゃなかった、  笑顔が歪んだ肉の塊になって  DJボックスから崩れ落ちて来たんだ  生温かな液体が  その温度が  体温だと  《S.T.》の体温だと思った瞬間に  僕は自分を  壊したんだ  叫んだんだ!  彼女に向かって。  そうだろ、  アヤ?  僕は叫んだんだ  叫んだ  叫んでいたんだ  誰か僕のプロセスを殺して  誰か僕を  僕というアカウントを  この世界から  この街から  ここから消し去ってくれと  アヤ  《S.T.》を  《S.T.》を呼んで  僕を音の  音の中へ放り込んで  《S.T.》の音の中へ僕を
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