Iam

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ああ、あの子だったら可愛く返せるのかな。 あの子だったら上手く返せるのかな───。 周りの友達を頭の中で浮かべては羨ましいと思う。 私は不器用で、特別可愛くもなくて、だから彼に 大切にされるとどうやってそれを返したらいいのか 分からなくなってしまうんだ。 こんな私のことを大切に大切にしてくれる彼に 私は何一つあげることが出来ない。 自分のことを大切に出来ない人は、他人を大切に すことも出来ないって… そう言えば昔何かの小説で読んだっけ。 そんなことを一人考えていたら、ふと、テーブル の上にある物に私の視線は奪われる。 「あれ…」 「ああ。」 私の視線の先にある物に気づいて、彼はゆっくりと 腕を離す。 そして、テーブルの上にあるそれを手にして優しく 優しく微笑んだ。 「これ、欲しがってただろ?」
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