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ギリギリまでオークを引きつけ、飛んでくる椅子から逃げようがない距離まで来てから私は声を張り上げ、手を振り下ろした。
「ファイエル!」
「っしゃー!」
「おらぁー!」
「えーい!」
様々な掛け声が続いて、学童用の椅子が乱れ飛ぶ。軌道は一直線だけどもなにせ数が多い。オークは避けることは出来なかった。
最初の一個がオークにぶつかったのと同時に、盛大に白い煙が立ち上ってオークの群れを覆い隠した。けれど、命中しているのは鈍い音とブゴッ! という悲鳴で確認できる。
煙がすっかり消えた頃には、オークの姿はそこにはなかった。何故か、椅子も残っていない。
代わりにあったのは、プラスチックの黄色いコンテナ――そう、配達のお弁当が入ってるやつ。
無事に危機を乗り越えたことを確認して私はほっと安堵の息をつき、活発な男子は黄色いコンテナに歓声を上げて突撃していった。
「みかこせんせー、お弁当だよー!」
「やったー! 昼飯ゲットだぜ!」
「そっかー、今回はお弁当かー。よかったねー」
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