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そういえばちょうど太陽が真上に近いからお昼時だった。私は多少引きつった笑顔で児童の無事を確認して、黄色いコンテナに向かった。
――ちなみに、椅子投擲の合図が「ファイエル」なのは、熱烈にこれを推してきた樹くんという子がいたためで。多分……いや、絶対あそこの家は深夜アニメを子供も見てる口だ。そして樹くんは帝国派なんだろう。
「椅子召喚ー」
今度はさっきの戦闘の時のような切迫した声ではなく、割とキャッキャした声があがる。
ある子は椅子に座ってお弁当箱を膝に乗せ、別の子は椅子をテーブル代わりにして座面にお弁当を置いている。
私は唯一椅子が出せないので、地面に胡座をかいてお弁当箱を持っていた。ちなみにお弁当はふたつ。子供サイズのお弁当では大人の私には足りないことを、お弁当を出す謎のシステムに理解されている。
そしてこのお弁当箱、とてもとても見覚えがある。児童の半分近くが通っていた新白梅幼稚園で利用している業者さんと同じお弁当箱なんだもん……私も、そこの卒園生のひとりだ。
「それじゃ、日直さん、お願いします」
「はい! みんな、手を合わせてください。いただきます!」
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