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file001 予感
2024年。
世の中は突然現れた黒い化け物の存在に怯えていた。
どろどろとしたその巨体に取り込まれた者は一切の感情を失くし、ただ息をするだけの「人形体」と化す。
アメーバの一種と認識された化け物を人々は「BAKIA《バキア》」と呼ぶ。
そして、それと対峙すべく政府が立ち上げた独立特殊部隊を、人々はアマテラス隊と呼ぶ──
アマテラス隊 二軍十班、湯野朱士様
頂いたメールの件です。バキアについて私なりに簡単にまとめましたので、ご確認をお願いします。
・バキア本体に呑まれると人形体化する。
・黒く丸みを帯びた巨体には無色透明部分があり、内部が見える。
・体の一部を弾丸のように硬化させ撒き散らす
・内部の核を破壊することで活動を停止し、消滅する
・何度倒しても何度でも現れる
こんなところでしょうか。また何かあれば連絡ください。
追記。BAKIA=bane,killer,alive(破滅させる者、みたいな意味だそうです)湯野君は十六歳なんですね。ちなみに私は十八です。歳近いね!
広報課 米倉
「はぁ、なるほど…。」
アマテラス本部ビルの二階。
クリーム色を基調とした明るいフードコートで、湯野朱士はバキアに関する新たな知識を脳みそに焼き付けていた。
支給されたタブレット端末をテーブルに置き、ぬるくなったコーヒーを口に含む。
米倉さんか。ほんと歳近いな。
湯野の周りには二十代後半から三十代が多く、最年長は四十八歳だ。
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