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地元の人間を管理職にし、地元の零細企業と取引を行うことで誘致の際に起きた遺恨を軽減することがこれまでの第二工場の方策だった。
しかし、数年続いた方策はじわじわと第二工場の経営を圧迫し始める。
地元の企業は遺恨を理由に通常よりも高い価格で商品を納品し、地元出身の管理職は黙認をしていた。
企業の本社も最初は必要経費として黙認することにしていた。
しかし、年度が進みにつれて、地元の人間達はこの状況を甘受し、やがて増長していったのだった。
-第二工場における経営方針を見直す-
前回の取締役会議において、これまで行われていた方策を見直す決定がされた。そして、その業務を滞りなく進めるために本社管理部より第二工場に送り込まれたのが、新しい総務部長である穂室豊であった。
「え?いきなり何です?そんな話・・」
穂室豊が第二工場での総務部長としての最初の仕事は、まず部下である地元出身の総務部に対して会社の意向を伝えることだった。
「何度も説明させないでください。これまで取引していた地元企業の商品は全国的な相場と比べても高額と言わざるをえない。今年度は本社系列の取引先から必要な製品を納入してもらい、次年度に向けて再度相見積もりでの業者選定を行います。」
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