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「待ってください。今年度の納入については契約が済んでいます。いきなり次月から取引を中止するなんて、問題になりますよ!新任の部長にはわからないかもしれませんが、かつて工場誘致の際の反対運動からの遺恨があって、地元企業と仲良くしていくと言うのが歴代総務部長の方針です。そのあたりをご理解頂きませんと・・」
真っ先に反対したのは、豊が来るまで総務部長の席に座っていた、現在総務次長に降格された男だった。地元出身の男からすれば、豊の急激な方向転換に納得ができるわけもなかったのだ。
「君が言う『そのあたり』を改善するために私がここに異動してきたんですよ。君が第二工場の経営状況もきちんと考えた上でうまく地元企業と折衝していれば私が来ることもなかったのです。私としても本社管理部からこんな辺境の地に飛ばされてきたんだ・・早く解決して本社に戻りたい。
しかし、君がそのような考えであるなら、すぐに本社に戻るのも無理のようですね。私は、貴方が、『年上』で、『地元出身』で、長くこの第二工場に貢献してきたと『自負』していたとしても一切考慮しません。」
「別に穂室部長に盾突くつもりはありませんが、私の年齢や出身地は考慮して頂かなくてもかまいせんので、せめて地元の取引企業との付き合いはもう少し良い方向に見直して頂けませんかね・・?彼らの中には私の高校時代の同級生なんかもいるので・・私の顔を立てると思って・・。」
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