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「顔を立てる・・?君は会社の経営状況よりも自分の顔を立てろと言うのですか?」
「そういうわけではないですが・・」
「私はここに異動になる前に内部調査で君の仕事ぶりも調べさせて頂きました。その調査で、君は地元企業から自分の立場を利用して接待を受けたり、高額な贈り物を受け取ったりしていたことがわかっています・・。それについて説明できますか?」
「地元での懇親会やお中元、お歳暮の類のものではないですか!これまでの総務部長も同じようにされていたと思いますが。」
「それでは、前任者が良くない事をしていたとしても、慣例として受け入れてもかまわないと、総務部長になれば厚遇を受けてもしかるべきだと?」
少しずつ豊の声は大きくなり、口調も厳しいものになっていた。
前任の総務部長だった課長は次第に言い返す事もできなくなっていく。
「私の判断で、君を課長に降格してでも総務部に残すようにしましたが、やはり間違っていたようですね。本社の最初の判断の通り、君には辞めてもらいます。本日中に解雇通告は作成して渡します。来月末まで籍を置くので、進退、社内での身辺をきちんと片づけてください。もう地元の遺恨は風化したんだ。それをいつまでも第二工場が甘受すると甘えていた君たちの責任だ。」
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