3人が本棚に入れています
本棚に追加
館の大きな扉が開かれ、中に入ると大きなモニターが置かれていた。
全員が中に入ったのを確認すると、隊長格の男は入り口の扉を施錠する。
「まず、説明の前に健康状態を確認するために健康診断を行う。」
館の一階の左手に医務室のような場所があるようだ。
何の説明もされぬまま、銃に脅されるままに40人の生徒と教師は健康診断を受けた。このような状況に誰も文句を言うことができず、この後何が行われるかをわからないまま、不安に駆られた者たちの顔は一様に翳っていた。
人数が人数だけにそこそこの時間がかかって、健康診断がやっと終わる。
早朝に出発したはずが気が付けば、正午近くまで時間が経過していた。
それぞれ思い思いの時間を過ごしていた者たちは改めて玄関のモニターの前に集められる。
兵士達が回りを囲む中、やっとこの非日常についての説明がされるのだった。
-Nation's Dilemma Secretariat-
モニターの電源が入ったかと思うと黒い背景に白い文字で書かれた英文のようなものが出た。
「・・国家のジレンマ事務局・・?」
沈黙の中、帰国子女の三枝美野里が小さく呟いた。
しかし何の音もしない場所で、その声は緊張して何かを知ろうとする者たちの耳に嫌でも突き刺さった。
最初のコメントを投稿しよう!