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写真は、美沙が大学を卒業した時の記念に撮った物なのだろうか。
真ん中に袴姿のメガネを掛けて澄ました美沙が椅子に座り、横に優しそうな着物姿の母親が美沙の肩に手を掛け微笑んだ顔で立っている。
健一の眼は、美沙の左横に立っている背広姿の父親の顔を観て、呼吸が止まりそうに生った。凄いイケメンだ ！
美沙の昼間のデートの相手は、美沙の父親だ ！
大事な人とは父親だ ！
美沙は妊娠の報告の為に、三島から父親を呼んだのだ。
そして美沙はお父さんと、デートを楽しんだ。
美沙がタクシーに乗る時に言った、連絡を取った人とは、おそらく実家の母親か父親だろう。
美沙は今、三島の実家に居る。
健一は今、気が付いた、美沙の携帯電話に連絡を取ればいい事を。
しかし美沙は、携帯の電源を殆ど入れていないし、もう夜も遅い。
健一はもう一つ、気がかりになった事を解決しなくては思った。
美沙が健一名義で貯金をしている20万円と健一と美沙の生活費を20万円と仮定して、40万円以上の収入の出所は何処に在るんだ …… ？
健一は、部屋の角に置かれている文机の周りを探索した。
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