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「はは、冗談がキツイな」
眉間に皺を刻み、猿渡さんは困ったように笑う。
「では、十万程でいいかな?
私のサインを入れた小切手を手配しましょう」
猿渡さんは皮肉めいて笑う。
「お父さん」
急に竜飛さんが声をかけた。
猿渡さんは驚いて、竜飛さんを見る。
「お母さんも聞いて下さい」
後ろに控えていた夫人も何事かとこちらを振り返る。
「木馬は俺が桜介にあげました。
勝手に作って贈ったものだからお代はいりません。
今回の修理代も全部、いりません」
「えっ、ちょっと、竜飛さ」
口を挟もうとした私の口を竜飛さんが手で塞ぐから、
黙るしかなかった。
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