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「その代わり」
竜飛さんは木馬に乗って楽しそうに遊ぶ
桜介君の方を見た。
「直ったおもちゃでお子さんと遊んであげて下さい。
時間がある時にほんのちょっとでもいいです。目を合わせて、手を合わせて、使い方を教えてあげて下さい」
竜飛さんの言葉に猿渡夫妻はじっと
一人息子の方を見つめた。
「そうすれば、ここにあるおもちゃはもう、
壊れることはないと思います。
では、失礼します」
そう言って、竜飛さんが出て行こうとしたら、
それを見た桜介君が飛びついて来た。
「おじちゃん!
ねえ、あの時の約束、覚えているよね?」
「ああ、忘れてないよ。また一緒に遊ぼうな」
竜飛さんはしゃがみこんで、
桜介君の目線で微笑んだ。
「うん、ずっとずっとの約束だよ!
僕、それまでお馬さん、大事にするよ!」
竜飛さんは嬉しそうに笑って、
桜介君の頭をわしゃわしゃと撫でた。
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