第一章 あなたのオモチャではありません。

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それに付き合ってもいないのに馴れ馴れし過ぎるよ。仕事の同僚なのに私を下の名で呼び捨てにしてるのはこの人だけで。おまけに何か失敗して注意すると、なぜかいつもこういうふうにいきなりハグされて話が変な方向へと進み出す。もはや怒りを通り越して呆れてしまう日々で。 それでもいつもより力を入れすぎたかもしれない。 反省しつつ竜飛さんの両腕を掴んでこっち側に引き寄せてあげようとした時だ。彼の着てる白い長袖シャツの袖口からポロリと何かが床に転がり落ちた。それはキラキラと光りながら工房の床をコロコロと転がって行く。 私と竜飛さんは一呼吸置いて同時に叫んだ。 「「あったー!」」
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