優しい嘘に気付かない

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 涙が溢れてくる。  ……泣いちゃ駄目だ。  零ちゃんが好きって言ってくれた、笑顔でいなきゃ。  そうやって笑顔を作ろうとすればするほど、涙は止むことなく溢れてくる。  よく見ると、手紙にところどころインクが滲んでいる。  ……零ちゃんも、泣きながら手紙を書いたんじゃん。  ごめんなんて言わないでよ……。  ありがとうなんて、私は何も出来なかったのに……。 「私の方こそ……」  私の方がきっと、君に救われた。  その優しさに、笑顔に、温かさに。  ……だから、 「____ありがとう」
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