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「手を貸して?」
私は手を差し出すと、永田さんは私の手を両手で握る。
ドキッとしたが、
「…やっぱり」
えっ?…
「あなたの手は氷のようにとても冷たい。でも額には汗。体温調節が出来ていないようです」
私はそう言われて、手が震えてきた。
まさか体温調節…自律神経失調症って事?
「睡眠不足はこうやって、少しずつ脳の細かい神経を破壊していき、次に身体中の神経を麻痺させ、やがて機能低下により、人間らしく生きられなくしてしまうんです」
寝不足なだけで…。
人間らしく…生きられなくなる?
私は浅はか?…あなどっている?
今の…私が?
それでも認めたくなくて、
「きっとそんなの、今だけですよね?…」
永田さんは、
「さぁ、それはどうでしょうか」
一言だけ言って、また何故か嬉しそうに笑って、私の反応を見ているようだった。
「…」
永田さんは、もう私が嫌いなのだろうか。
どうして、そんな返事しか返してくれないの?…
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