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泣きながら私はシャワーを浴びて、悟との出会いから今を振り返る。
確かに、交際期間は一年で短かった。
私は両親、家族からも何度も大丈夫なのかと聞かれた。
初婚とは言え、30歳過ぎてからの結婚だから、地味でいいと、贅沢な事は一切要求しなかった。
悟とは、インターネットのコミュニケーションサイトで出会った。
書き込みだけでのやり取りをしばらくして、仕事の相談をしたら、とても親身に話を聞いてくれた。
意気投合してからは早かった。
直接会う事になって、その時も仕事への取り組み方の話で盛り上がり、彼はとても熱心な人、一生懸命頑張っている人だという印象だった。
会社からも頼られているんだと自分で言い切っていたから、自分に自信のある人、仕事の出来る人なんだと単純に素敵だと思っていた。
デートの時も気前がよく、いつも携帯電話の電子マネーで支払ったり、どんなに遅くなってもきちんと家まで送り届けてくれる、優しい人だと思っていた。
私が求めて惹かれていた時には、悟も同じ気持ちになっていて、悟から「結婚して早く一緒に住もう」と言ってくれた。
だから私は賃貸物件を一生懸命探した。
そして部屋をやっと見つけて、最終審査もクリアして…ここまできた。
なのに、結局私一人で新居に入居した…。
あの時は、交際期間が短いから、余計に私は運命の人だと思っていたのかも知れない。
5歳も上で、そんな年の離れた人と交際するのは初めてだった私には、本物の大人の男性だと思って、頼れる人だと、やっと一人で何もかもやらなくて済むのだと、そう思ったのに…。
なんだか出だしから、全然私が思い描いていた新居での新しい生活とは違った。
身が崩れてしまうくらい。
私は、悟るの考え方や生き方が、益々よく分からなくなってきていた。
こんな虚しい現実や、人の心の急な変わりように、全てを認めたくない自分も居たりして、強がって鏡を見て笑ってみる。
「笑って笑って…なんてね…」
悲観的に考えると本当にそうなってしまうから、もっと気を楽にして、何事も悪い方に考えない!
まだ始まったばかり…。
大丈夫…。
きっと、私は大丈夫だから…。
そう小さく頷いて一人で眠りについた。
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