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遅くなるから夜の食事は要らないと、悟は言っていたが、結局その夜、明け方になっても帰って来なかった。
さすがに職場に泊まったというのなら、嘘でしかない状況。
実家?…それとも誰か別の人と別の場所に泊まったのか…。
スナックで飲みつぶれたか…。
キャバクラで女と戯れていたのか…。
ヘルスで、性を思う存分はらしていたのか…。
それとも…。
気にもしたくないのに、頭に悟の事がこびり付いて、離れていかない。
だから結局私は一睡も出来なくて、なんだかフワフワと身体が中に浮かんでいるような、脳がもう液体化しているような、変な感覚になっていた。
夜が全く眠れなくなってから、なんだか食欲もない。
何も食べたくないのだ。
家の中にずっといるから身体が疲れないみたいで。
それにしても、悟はいつ帰ってくるのか。
実はもう、戻って来なかったりして…。
私は玄関を出て、下を覗き込む。
頭がボンヤリしている…。
全然眠くない…。
ガチャ…
隣の扉が開いて、永田さんがタバコを加えながら出て来た。
私をチラッと見て頭を下げる。
私も頭を静かに下げた。
タバコに火を付け一煙り吸い出して、
「どうも」
声を掛けてくれた。
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