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永田さん…私…。
私を見つめ続ける永田さんは、どこをどう見ても私の様子がおかしいと察していた。
「顔色が悪いですね?」
「はい…また色々あって…」
「そぉ…」
「色々な事が分からなくなっています…」
そう呟くと、涙が出てきた。
何故か永田さんの前だと、躊躇わずに自分の思ったまま言葉が出て、感情も素直に出てしまう。
「こんな毎日になるだなんて思いもしなくて…」
私は溢れる涙を両手ですくうように、顔を覆った。
「でも、引くに引けないんです。…自分は何も悪くないから。…ここに居る事が間違いだったなんて…そんな現実を認めたくなくて…」
色々と思い浮かぶ。
つらいこと、苦しいこと、悲しいこと、腹の立つこと、呆れること、みっともないこと。
悟からされた、えげつないくらい、酷くて嫌な事。
泣き崩れて座り込んで泣いた。
「身体を壊すために、私はここに引っ越してきた訳じゃない…」
泣いていると、耳のそばから声がした。
「自分の事だけを考えたほうが良い」
私はその言葉に涙が止まった。
永田さんは座り込んでしまった私に、同じく座り込んで、強い視線を向けてそう言って下さった。
「自分の事だけ?…」
「そぉ、自分の事だけ…」
「はい…」
永田さんの目の中に、私がまたしっかりと写っている。
ひどいを顔している…。
私の表情はとても不安気で、とても病的な顔付きをしていた。
こんななの…今の私は…。
今の私の顔は、何かに取り憑かれて恐れて怯えている顔をしていた。
立ち上がろうとした時、フワッとして一瞬立ち眩み。
その時、永田さんは私の背に手を当てて支えてくれた。
「ご、ごめんなさい…」
「いいえ」
人の温もり、優しさで包まれたような感覚がした。
「もう部屋に戻って眠った方がいい」
「はい…」
私は永田さんに見送られ、自分の部屋に戻った。
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