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23時10分。
悪夢から目を覚ます。
ヒソヒソと声が聞こえた。
何を言ってるのかは、聞き取れない。
ただ、どこの部屋からか分からないけど声が聞こえる。
私はしばらく耳を澄まして、何を言ってる声なのか研ぎ澄ましてみる。
…分かっているようで分かっていない…
えっ?
…分かっているようで分かっていない…
分かっているようで、分かっていないって、誰かの呟く声がする。
どういう意味?誰の事を、誰が言ってるんだろう。
下の住人は最近引っ越したばかりで、誰も住んでいないし。
隣の永田さんは、夜勤だから夜中は居ないし。
テレビの音?それとも、外からどこかの家の音が漏れてる?
そのうち毎晩、決まって同じ時刻に、どこからかその呟く声が聞こえてくる。
なんだろう…。
私は気になって、床や壁に耳を当てたり、ベランダや玄関を出て、どこから聞こえるのか探していた。
そのうち、その言葉の続きが聞こえ始めた。
…分かっているようで分かっていない…
…だから分からせてやりたい…
…分かっていない奴に分からせてやりたい…
何がどう分かってなくて。
何をどう分からせてやりたいのだろうか。
そのうち、一人の呟きではなくて、何人かで話し合うような感じで、ただひたすら、そのキーワードを言い続け合っているような声たちが聞こえはじめる。
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