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田中さんとの別れから数日後。
「よし、出来た!」
私は元気に音楽活動をしていた。
趣味となっていたのが嘘のように毎日音楽漬け。
「田中さん、今頃何してるのかな~」
あの日、田中さんがいなかったら私はダメだったかもしれない。
今、こうして笑っていられるのは落ち込んだ時田中さんがそばにいて気を紛らわせてくれたから。確かに、幸せを運んできてくれたのだ。
「よんだ?」
「は?」
思い出にひたっていた時、不意に聞こえた声。
振り向くとそこには、
「よっ」
緑のジャージに、薄い髪の毛。胸元には『田中』という刺繍。そして、約15センチメートルの身長。
「田中さん!?」
小さいおじさんこと、田中さんである。
「なんで!?」
「いやぁ~、やっぱり外の世界は厳しいわ」
「は!?」
よいしょよいしょとソファによじのぼり、疲れたようにため息をつく。
「はぁ~、疲れた」
「ちょっとまって、どういうこと?」
出来事についていけない。思わず顔がひきつる。
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