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「いやね、出ていったのはいいけどすっかりこの生活に慣れちゃったからさ、も~大変大変」
「で?」
「ご飯もないし、暖かい布団もない」
「うん」
「無理でしょ」
「なにがだよ!探せ!」
あんなかっこよく出ていったのに、なんなんだ。台無しである。
「もうすぐ冬だし?野宿なんて無理無理」
「どっか別の人の家に住み付けばよかったじゃない」
「バレたら追い出されるかもしれないし?」
「頑張れよ!」
なぜ私は受け入れたのだろう。
あの時の私、不思議だ。
「そもそもそんな簡単に良いとこ見つからないでしょ~」
「諦めんな!」
振り回される私。
すっかり田中さんのペースである。
「まぁ、いっか」
あの生活が恋しくなっていたから、なんだかんだ嬉しい。
「まぁ、またよろしく頼むよ嬢ちゃん」
「はいはい。しょーがないから頼まれてあげる」
そう言って嬉しそうに笑う田中さんに私も笑う。
そして現在に至る。
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