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第1話 出会いの季節
(あぁ…つまらない)
陽の光が注がれる窓辺の席で、1人外を眺めていた。
桜の花びらは綺麗に待っていて、青空は雲ひとつ無い。
こんな普通の日常が、つまらなかった。
高校生の乙姫は、あまり他人に興味を持たないタイプで、友達と言える友達がいない。
そのため、クラスではいつも1人。
共通の趣味を持ったりする人を知っている訳でもないため、ただ外を眺めるしかやることが無い。
HRは10分後に始まる。
(…暇すぎる)
読む本もなく、ただ10分間、外を眺めているのが乙姫の日課となってしまっていたのだった__
⭐⭐⭐
「入ってこい」
HRが始まり、先生は転校生が来たと言う。
話が終わるなり、教室の戸に向かって声をかける。
ゆっくりと開く戸の向こうには、銀髪を揺らした男子が立っていた。
澄んだ青の瞳には、曇りがなく、誰もがその美しさに見惚れていた。
「転校生の葉珠です。」
深々とお辞儀をし、先生の声を聞くまもなく、葉珠は空いている席に座りに行った。
隣の席のクラスメイトは頬を赤らめ、「よ、よろしくね。」と慌てて挨拶をしていた__
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