導入

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導入

 ボクは傍観者だ。  特にそれといった理由はない。 結局自分が一番大切であることに変わりはないから。  今、ボクは現在進行形で「異世界転移」に巻き込まれていた。 別にボクは異世界物にすごく詳しいってわけではない。だが、今の状況を把握するには十分だった。  気づいたころにはボクの学年が全員教会のような場所に集められていた、否、飛ばされていた。どこかの王族のような人たちが理解しがたいことをボクたちに語り掛け、一人一人にランクを勝手につけて行った。  頭に金色にきらめくティアラを付けた王族らしきお方によるとボクは『B』よりの『A』ランクだそうだ。ボクと同じくらいのランクを言い渡されたクラスメートや他クラスの奴らは合計で30人ほど。僕らの学年には100人ぴったり存在し、その中の60人がボクを含め『A』ランク以上だった。  他39人の奴らは『B』ランクか『C』ランクだった。ただ、1人だけ例外がいた。 『F』ランク。  救いようのない無能だと王族らしき人たちに言われ、ボクたちの周りに待機していた騎士らしき存在達により部屋から引きずり出されていた。  確かあいつはよくクラスの奴らにいじめられていたな。騎士に引きずられていた時も周りの奴らは「負け犬」「無能」等を口ずさみ、くすくすと、げらげらと笑っていた。 ボクは察した。 あ、あいつが主人公なんだと。
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