17人が本棚に入れています
本棚に追加
大柄で眼鏡をかけ、眉毛は太く、目は細かった。
髪はちじれ、脂まみれだった。
41歳。
独身。
誰が見ても、ああそうだろうな、と思うような独身だった。
右田氏はよく仕事をさぼっていたから、他の従業員からは嫌われていた。
本人も恐らく嫌われているということに気が付いていたはずだ。
それでも右田氏はよく仕事をさぼった。
ストックで棚の整理をして来る、と言ってそこで居眠りをしていたし、煙草もよく裏口で吸っていた。
裏口の地面は、右田氏の踏み潰した煙草でいつもいっぱいだった。
掃除をするのは、右田氏ではない。
他の従業員だ。
私も右田氏のことが嫌いだった。
シフトが重なると憂鬱な気持ちになるし、苛立ちもした。
右田氏のいない所で、他の従業員と彼の悪口をよく言い合った。
しかし、右田氏は何故か店をクビにはならなかった。
店長も右田氏のサボり癖は知っていたはずだし、私も何度か右田氏を注意する店長を見たことがある。
かといって、右田氏は上に取り入るのが上手い、というタイプでもなかった。
最初のコメントを投稿しよう!