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といっても、描き始めてまだ3年くらいだったし、落ちて当たり前、先は長い、くらいに思っていた。
右田氏はというと、なんと最終選考まで残ったことがあると言うのだ。
私が小説を書いている、とレジで何の気なしに言ったら、右田氏は太い眉を動かし、僕も小説を書いているんだよ、と言った。
そして、新人賞の最終選考まで残ったことがあるんだよ、と続けたのだ。
そのことを聞いた私は、その場ではすごいですね、などと大袈裟に驚いて見せたけれど、内心は泣いてしまいたいほどに打ちひしがれていた。
大声を上げながら、街中を走り回ってやりたくなった。
しかしそんなのはどうせ嘘だ、と思った。
まさかなにを言っている、こんな頭の悪そうなおっさんがそんなわけがない。と私は思った。
彼の容姿や素行を知っていれば、誰だってそう思うはずだった。
そんな私の心中を知ってか知らずか、女の尻でも眺めているかのようないやらしい顔で右田氏は笑っていた。
私はその時エプロンに差していたボールペンを右田氏の糸のように細くなった目に突き刺してやりたくなった。
右田氏が言った新人賞を調べてみた。
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