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◇◇◇ 「「いただきまーす!!」」 「食え、気が済むまで食え」 テーブルの上に並んだデリバリーのとんかつ弁当大盛りを前に遥斗と新の喜び勇んだ声を聞き、大和がうんざりとしたような声をかけた。 「えー、その言い方ー!!」 リスみたいに頬を膨らませ肉を頬張りながら遥斗が文句を垂れる。 「お前らさっき、ラーメン食っただろう?」 「それね。僕だって大和もインスタントラーメンなんか食べるんだなってびっくりしたよ?」 元々、大和の育ちが良い事に感づいていた新としては大和のお高そうなマンションの部屋に連れ込まれた途端にインスタントラーメンなんて出されたから正直驚いていた。しかも新も安さと美味しさで御用達にしている庶民的インスタントラーメンの袋だった。具材はもやしにネギに煮卵チャーシューと豪華だったが。 「お前ら俺を何だと思ってる。毎日寿司やステーキ食ってる訳じゃない。俺からするとインスタントラーメンを食べた後に夕飯を普通以上に食うお前らがびっくりだよ!」 うんざりした表情のまま、大和は自分の前に置かれたとんかつ弁当大盛りの中身を持って来た皿に半分ずつ移していく。あ、キャベツだけは全部持っていった。 「え?だってあれおやつだよね?」 「うん、おやつだな」 遥斗の言葉に新たも同意する。 「わかった。お前らの胃袋の無限大の恐ろしさはわかった。俺の残りも食っていいぞ?」 大和によって差し出されたキャベツなし、ご飯、とんかつ半分弁当に遥斗が飛びついた。 「え?いいの?!」 「遥斗が食うのか?!」 大和がさらに信じられないという顔をする。学食であれだけ餌付けしてたんだからこれくらい、遥斗はサラッと食っちまうだろう。 「遥斗、燃費悪いねー」 「うん、よく言われる。高級車みたいって」 「言い当ててるね」 からかう新の前で与えられたお弁当に手をつけ始めた遥斗は一つ目のお弁当を食べ始めた時とペースが変わらない。 おかしくなってちょっと笑ってしまった。 「ね。燃費は悪いけど乗り心地は良いって」 「バレたからってエロを軽く被せてくるな」 一瞬固まった空気を大和が遥斗の額に軽くデコピンして和らげだ。 「はひ」 「んで、お前がそんなになったきっかけ教えろ」 パクリととんかつを齧った口で当たり前のように大和が遥斗にたずねた。 「えー」 「とんかつ弁当大盛り」 奢ってやるんだから話せよ?という視線がバンバン発せられている。 「んー。じゃぁ、二人が先に男の人とするようになったきっかけ、教えてくれたら話すよ?」 しぶしぶっぽく見せているが遥斗の瞳には好奇心が溢れているのが見え見えで、大和は顔は真面目を装っているが肩で笑ってる。大笑いしてる。 「わかった」 「りょーかい」 大和と新の返事に満足したのか、空っぽになった弁当の蓋をしめた遥斗は美味しそうに炭酸を飲みながら二人をチラチラと上目遣いで見つめてきた。
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