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◇◇◇
「母と姉のBL趣味の洗脳」
「接待セックス疲れからのAVの見過ぎ」
「は?」
ポテトチップスとチータラとナッツと炭酸飲料が並んだテーブルを挟んで始まったエロ対談は十秒で幕を下ろした。
「えーなに?それ?!それだけ?!!もっと具体的に教えてよ!」
ジタバタする遥斗にニンマリと大和が笑いかけた。
「使われた単語で察せられると思うが、俺達かなり性癖拗らせている。聞く勇気はあるのか?」
「も、……もちろん?」
ビクリとしつつもソファーから床に降り正座して聞く準備をする遥斗は可愛い。
「じゃ、俺から」
そんな遥斗を見て笑った大和はちらりと俺を見た後、口をあけた。
「俺の母と姉は、いわゆる腐女子と言うやつて、俺が生まれる前から二人とも既に腐っていやがった。母も姉もお嬢様校出身だが、そういう学校程、百合百合しくはなく、腐っている人間が多かったらしい。そして、俺は五歳にして男と男で子供を生める異世界があると教えられていた」
「それは英才教育だな」
思わず感嘆の声を漏らしてしまった新に大和は目を細め笑い返した。
「幼稚園からエスカレーターの男子校に通っていた俺は小学校の淡い初恋から違和感なく普通に男が好きだった。中学に入る前には母や姉から与えられた男同士の薄い本やエロいゲームでヤンデレや監禁、陵辱といった普通からかけ離れた愛情表現を学んだが、そんな愛情表現はゲームや漫画の中の事だと大人ぶり一人前に割り切っているつもりだった。初めて男とヤッたのは自宅で、家庭教師できていた大人の男の先生だな。無知なフリして抜きあっていた所からゲームや薄い本の知識を総動員して歪な愛を押し付け発展させて、最終的に俺の部屋で俺が先生を押し倒した」
「おお、年上を襲ったのか」
「恋人が居るのを無知なフリとこの顔と若さと姉の部屋で見つけた玩具で寝取って俺の可愛いネコにした。ついでに先生が捨てられないって泣くから先生の男も連れてこさせて、先生に挿入させたまま抱いて俺のネコにした」
「すごいね」
「結局、高校入るまで三人で楽しんだんだが、先生も大学卒業して家庭教師を辞めたんでそこで終わり。その後、高校の生徒会で可愛い子をみんなで愛でたりしたから相手や性癖で苦労しなかった。そんなわけで、エロゲーや薄い本のノリで俺は、男しか恋愛対象ではなく、俺のネコが他の人間とヤッてるのを見ることに興奮するし、俺のネコであればどんな玩具でも使うことを躊躇わない。とことんまで溺愛する主義だ。そして俺が男が好きな事は、家族公認だ」
「情熱的に一途なんだね!!」
やっと感想を口にした遥斗はかなりズレている。
「ある意味、一途だろうな、それも」
しかもこの話、九割は本当の事だろうが、大切な部分は嘘だろう。そう大和の顔に書いてある。多分大和の最初の体験はそんな綺麗な思い出じゃないんだろう。
「じゃ次、俺ね」
新だって後ろめたい事はある。いや後ろめたい事だらけだからこそ笑って話し出す。
「俺は、この性格の良さにこの頭、ついでにこの見た目だから昔から結構モテてね。高校時代から相手には困らない位にかなり乱れた性生活送ってたんだけど、そのうちなんか女の子に対して接待セックスみたいになっちゃって。一時イケなくなっちゃった時に、ホテルでなんとなしに流していたAVみてたら久しぶりにイッちゃって。刺激が足りないのかと、それから色々AV見ながらしてみたら、男同士、複数液まみれだとイケるようになったんだ。画期的だったよね。そっちの道も開けたかっ!って。今も女の子は抱くけどイケないからつまらない。どうしてもって言われれば抱くけど、もうイケない。AV見ながら自家発電の方がよっぽどマシ。お互い白濁で汚し合うって男同士にしか出来ないし、快楽に堕とした時のギャップは最高だよね。だから今は男の子の方がいいかな」
「百戦錬磨?!凄い!!」
その遥斗のワクワクな視線がたまらない。
「見た目に誤魔化されてる奴が可哀想だな」
新自身が思うことそのままを口にした大和も、多分新が隠し事をしている事ぐらいお見通しだろう。なんせ九割嘘だったから。
「さーて、遥斗。約束通り俺達は話した。次はお前な」
悪魔がそそっと床に座り込む遥斗の横に移動して耳元で囁いている。
「うーん。僕はまだ初めてから一ヶ月も経たないし、面白い話はないんだよなぁ」
「面白い話を聞きたいんじゃない。どうして初めてから一ヶ月経たないでこういう子になったのか知りたいだけだ」
大和が目を細めて笑顔で遥斗の手を握りしめた。逃がす気は無いらしい。
「うーん」
「難しく考えなくていいよ?取り敢えず最初の日から、何があったのか順に話してみようか?ね!」
新もまだ悩んでいる遥斗の隣の床に座り、耳元で囁いてみる。
「そうだね!」
俺達は100%本当の事を話すであろう流されやすい遥斗を挟み込み、話を促した。
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