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その日は一番上の兄さんにタマキの近況を報告していたせいで俺がアジトに向かおうとした時には既に辺りは暗くなっていた
…ナオヤはそろそろ潮時だろう
平気なふりをするのが上手いだけで相当溜め込んでるはずだ。
この間の倉庫の裏でナオヤと話した時に確信した
そして
兄さんの話によると、どうやら政治家の中にタマキから若い男を買っている奴が居たらしい。
…恐らくだけどナオヤのことだ
それならあの異常な枚数の金のことのも辻褄が合う
俺はタマキを監視してながらも全然気がつかなかった
そのせいで兄さんにも迷惑が…
やっぱり俺は、
いや感傷に浸るのは早い
ようやくアジトに着いた時
やけに辺りが静かなのが気になった
何かおかしい
いつもと違う
なんだ…?
不自然な静寂
そんな中俺の心臓だけが煩い
もし何かが起きていたとして俺に何かできるのか?
なるべく音を立てずに倉庫の入り口に近づくとそこには何かが落ちていた
いや、人だ
段々と近づくと鮮明に見えてくる
その塊は人で、辺りは血に塗れていた
その血溜まりの中に銀色の髪の毛が見えた
よく見知った綺麗な銀色
「…ナオヤ?」
もしかしてと思って急いで駆け寄る
嘘だろ?
いや、タマキに目をつけられた時点で大体こうなるのは分かっていたじゃないか
今までも何度も見てきた
それでも俺は
ナオヤなら大丈夫だって何処かで思いたかったのかもしれない
「ナオヤ!おい!」
ナオヤの首元にはナイフが刺さっていた
…これは抜いたらダメだ
とりあえずウチのかかりつけの病院に運ばないと…
兄さんとかみたいな政治家や芸能人など一般人に知られたくないような偉い人達がかかっている専用の病院で、うちのかかりつけの病院。
あそこなら何かあっても安心だろう
早く
早く
早く
病院に電話をかけながら大事なことを忘れていることに気がついた
…そういえば、タマキは?
ナオヤがこんなになっているんだ
玩具が壊れる瞬間をタマキが見ていないなんてことあるわけがない…
しかもこのまま放っておくなんて絶対にあり得ない
ドクン
タマキだけじゃない、他の奴らだって…
ドクン
俺は倉庫のドアに手をかけて中を確認すると
そこは地獄絵図だった
みんな死んでる…?
いや、息をしている奴もいる
その中央でタマキが血を流して倒れているのが見えた
…え?
どういうことだ…?
何が起きているかわからない
これ全部もしかして、ナオヤが…?
その瞬間、電話の先で病院と繋がった音が聞こえた
その後のことは必死過ぎてあまり覚えていない
結果的に言うと
奇跡的にナオヤとタマキは一命を取り留めた
ただ2人とも相当血を流したから重体だった
あの惨状で死んだのはただ1人
空閑明人
死因は出血多量による出血性ショック死だった
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