捨てられない

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家族三人揃って久し振りの夕食。 仕事の疲れも今だけは忘れ、一家団欒の一時を過ごしていたのだが… デザートを食べている最中、妻の茜から思ってもみなかった言葉を突然告げられた。 「崇、私たち別れましょう」 「はっ!?」 「離婚届はあなたが書く箇所以外全て記入済み。秘書にでも頼んで出しておいて」 「いやいや、意味が…」 「崇が提案した香坂建設とうちの奥田スチールの海外合同支社あるじゃない?あれ、私が支社長になることが決定したの。お義父さんが推薦してくれて」 「はぁ…」 「軌道に乗るまで帰るつもりはないの。私にとって仕事は生きがいで…」 その後の一方的な話は、俺の耳に入ってくることは無かった。
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