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「父さん、ご飯がない!」
「あっ!」
今日からお盆休みのため、毅と家に二人きり。
クーラーで冷え切ったリビングでテレビを見ながらごろ寝をしていると、この場所こそが、この世の楽園なのでは?と真剣に思うくらいだ。
たまの連休ぐらい、どこにも行かずゆっくりしたい。
それなのに人間の三大欲求の一つ。
大切な食事が無いなんて!
「家政婦のおばちゃんも夏休みだからだよー。お腹空いた!」
朝はいつも通り適当にパンを焼いたりしていたので気付かなかったが、昼・夜のご飯の用意が無いとなれば死活問題だ。
テーブルに伏せって毅は空腹を訴えている。
こうなったら…
「毅。これは緊急事態だ。ただちに大和君にSOSを」
一昔前のアニメにありそうな台詞で毅に命令し、電話をかける姿を確認してから俺はクローゼットに着替えに行く。
「どれにしよっかなー」
大和君の前では、いつも格好いい俺でいたい。
ちょっとした見栄を張るために嬉々として洋服を選んでいると、
「大和君、すぐ来てくれるって!」
「よし!でかした」
頭をぐしゃぐしゃと撫でれば毅は嬉しそうに笑い、俺まで笑顔になった。
早く大和君来ないかなー?
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