どうせ、ただの幼馴染だから。

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 ――ごめん。今起きた  もう、なんて言いながらも頬を緩めている自分に呆れつつ、すぐに返信をする。  ――十秒後に起こしにいくから  ――待って、すぐ起きる、  ――嘘つけ  鼻歌を口ずさみながら、家を出た。  十秒ほど歩き、鈴木と書かれた表札の横のインターホンを鳴らす。はい、と蒼太の弟の声がして、名前を伝えるとすぐに開けてくれた。 「あいつまだ寝てるよ」 「さっき、今起きたってメッセージきたんだけどなぁ」 「……ったく」  蒼太の弟はランドセルを背負ったまま「おい! 香澄来てるぞー!」と二階に向かって大声で言う。けど、返答はない。 眉を顰める弟に、口角を上げてぐっと親指を立てて見せる。 「大丈夫。あとは任せといて」  頼んだ、と蒼太の弟が家を出ていったあと、お邪魔しまーす、と階段を上っていった。
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