子別師匠

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少し暖かい日が続く様になりますと、春も目の前まで来ているのでしょうか。 私と白井さんは佳境に入った先生の邪魔をせぬように縁側で希世さんの淹れて下さった珈琲を飲んでおりました。 するといつもの郵便局員の穂積さんが訪ねて来られました。 「穂積さん」 私は玄関へ向かわれようとされておられる穂積さんに声を掛けました。 何よりも穂積さんが訪ねて来られた事を喜んでいるのは柴犬のシズカでした。 シズカは嬉しそうに穂積さんの足元で飛び跳ねております。 「やあ、シズカ」 穂積さんはしゃがみ込んでシズカの喉を摩っておられます。 「シズカは穂積さんが大好きですね」 白井さんは珈琲のカップを縁側に置くとそう言ってニコニコと笑っておられます。
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