雨の日

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「はぁーっ。3年で随分景色も変わるもんだな…。」 「あぁ、やっぱりそうなんですね。最近見慣れてきたからあまり感じませんでした。」 「…慣れ、ねぇ。」 しみじみと噛み締めるように呟いた和斗さんが、手にしていたカップでコーヒーを一口啜った。 ふぅっと溜息を漏らすと、湯気が少し揺らぐ。 「でも…」と和斗さんはまた呟いた。 そして、変わらんものもあるな、と安堵したような笑みを浮かべる。 「美味しいですか?」 俺がそう尋ねると、いやぁ、と和斗さんが首を横に振る。 「まあまあだな。」 「じゃあ、どうして飲むんです?」 「さぁ。・・・ほら、なんつーの。癖になんだよな、何故か。」 「癖、ですか。」 大して口に合わないコーヒーをわざわざ頼んで、ほんの少しずつ啜っては、ほうっと軽く息を吐く和斗さん。 俺には未だに不思議でしかないが、和斗さんらしいと言えばらしかった。 前にもこんな会話、したことがあった。 いつの事だったかな。 でも確かなのは、まだ和斗さんが俺の手の届くところにいた時の事だったってこと。 そうだ、あの時も・・・。 「和斗さん・・・。何かあったんですか?」 おもむろに俺の口から飛び出た言葉は、あの時も、それに今もまた、和斗さんの核心をついたらしかった。 「おっ、まえ・・・」 エスパーだなぁ。そう和斗さんは呟いて、困ったように笑う。 俺は和斗さんが自ずと話を切り出すのを、ただ黙ってじっと待った。
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