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「…明日貴方と何して過ごそうかって考えてたんです。それに何より、朝起きたら隣に貴方がいて、誰よりも先に貴方の顔を見られるんだって思ったら…楽しみで、幸せで、落ち着かなかった。…んだと思います。」
真剣に、本心を率直に、和斗さんの瞳から目を離さずに…いや、離せずに俺がそう告げると、一瞬呆気に取られたように目を見開いた和斗さん。でもすぐに「はぁ~っ」と大袈裟に息を吐き出した。
「お前ずりぃな。男の俺でも今ちょっと揺らいだぞ。やっぱモデルはオーラが違うな。」
「読モですよ?知名度が高いわけでもないし。載ってもほんの小さい写真。」
「分かんねぇぞ?その内変装しねぇと騒がれるようになるかも。ぜってぇ注目されるって。」
なんの確証か、そう和斗さんは断言した。
別に、注目を集めたいわけではないのだけれど…。
あまりにしつこく勧誘を掛けられたので、小遣い稼ぎにまぁ少しなら、と試しに乗ってみただけのこと。
大学に行って2、3コマ講義を受けるだけの日課よりも、現実を離れて時に忙しさに駆られる方が、気が紛れて幾分マシなのではないかと思ったのだ。
だから、仕事が滅法来なくても、逆にどっとスケジュールが詰まっても、正直どうでも良かった。
和斗さんが、俺の載った雑誌を欠かさずチェックしてくれていたらしい、その事実だけがただただ重要だった。
例え和斗さんにとって俺がただの弟的存在であるのだと分かっていてもだ。
結局何をするにも和斗さんを意識してしまうわけである。
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