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思い返すと俺はいつも和斗さんのことばかり目で追っていた。
そのせいか俺はこれまで異性にあまり興味を持ったことがない。
学生生活ではよく女の子に声を掛けられるが、俺が和斗さんしか眼中に無いのは自ずと言動に表れるので、その内相手が勝手に諦めてくれてそれっきり…なんてパターンが多い。
そもそも女の子に興味を持たれやすいのだって、恐らく中身でなくこの珍しいハーフ顔のせいなのだ。
上辺だけ見て評価されても別に嬉しくもなんともない。
「大丈夫です。彼女なんていませんし、作りませんよ。」
「はぁーっ、お前はまたそういう罪作りなことを。振られる女の子達が不憫だ。」
「そうですかねぇ。」
そうだろ。と和斗さんが即座に答える。
そして、知ってんだぞ?と、俺が中学と高校とで受けた告白の話を引き合いに出されてしまった。
他でもない俺自身が暴露してしまったから和斗さんもよく把握しているのだが、改めて例を挙げられると意外なその量に、それから和斗さんがまだそれらの話をはっきり覚えていることに驚いた。
「お前甘そうな顔して、振る時案外バッサリみたいだからな。それで女の子達が…」
「そういうのはもう忘れて下さいっ」
「無理だろー。勿体ねぇもん、人情ねぇ奴とか思われて。…お前超良い奴なのに。なぁ?」
「そっ…!」
和斗さんの言葉だと思うと内心純粋に嬉しくて、途端に返す言葉を見失った俺があーとかうーとか呻くような声を出すと、また和斗さんは笑った。
ひょっとしたら和斗さんは、俺が自慢として暴露話をしたのだと思っているのだろうか。
もしそうなら、それは和斗さんの解釈違いだ。
俺が好きなのは貴方です、と容易に口にするわけにはいかなかったあの頃。周囲の女の子には興味がないですよ、と遠回しにアピールする為にしていただけの話なのだ。
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