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「なー、これおかしくねぇ?」
「何がです?」
「なんでお前がそっちで寝んだよー。」
ソファに寝そべる俺の服をグイグイと引っ張る和斗さん。相変わらず無防備さを隠そうとしない彼シャツ姿でソファの前に仁王立っているので、今ちょうど目線の低い俺にとっては白い生脚が目に毒だった。
「お客様優先は鉄則ですから。」
「客じゃねぇーし。お前の兄ちゃんって事にしろよ。」
「え、それはちょっと…。」
無理ですね…。
少なくとも俺の今の感情は、兄に抱いていいものじゃない。…決して。
即座に理性を総動員。
何があっても絶対に流されるもんか、と虚勢を張る。
…しかし、そこから10分と経たない内に俺は和斗さんと共に一つの布団を被っていた。
和斗さんは、今日はちょっと肌寒いとか子供体温分けろとか、色々こじつけっぽい理由を付けてきた。結局、まんまと俺が昔のように和斗さんと同じベッドで眠るように仕向けてしまった。
あぁ、この人お酒飲んだな。俺はすぐ気付いていた。
すぐ悪酔いするくせに、お酒は好きで飲みっぷりもなかなかの豪快さ。
酔うと途端に言動が幼くなるのは言うまでもなく愛らしいのだが、普段以上に激しくなるスキンシップを俺がいかに余裕振って受け取るかが難題である意味では厄介事だ。
なにせあまり素っ気なくあしらってしまっても、拗ねた和斗さんに馬乗りされて、俺の理性が爆発するリスクが高まるだけなのだ。
とにかく加減が難しい。
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