愛しい人の目覚め

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あなたの手が、こんなにも冷たい。 また無茶をして……本当に、心配をかけるのだけは得意なんだから……。 「ほら、早く起きて?」 冷えた手を温めながら、肩に触れて語りかけるの。 まるで日課ね。 「ほーらっ、今日はご飯抜きは禁止よ。起きてちゃんと食べて?」 こんな事を日課になんてしたいはずはない。 けれど、目覚めたあなたが1番に私を映すのなら、こんなにも心配をするのが私だけの特権ならば、それも悪くないと思ってしまうのよ。 だからほら。遅れてしまう前に、早く起きていつもの寝ぼけた阿呆面を見せて? 毒入りの冗談を言ったら、不機嫌そうなあの顔で起きるかしら。 「ねぇ、私が凍えてしまいそうよ。早く起きてちょうだいな。」
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