愛しい人の目覚め

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お読みいただきありがとうございます。 貴方の描いたシーンは、以下の中にあったでしょうか? もし違うシーンを想像したのなら、こっそりと教えてくださいね。 * シンプルに読めば、ただ恋人を起こす女性口調の一人語りと取れるかと思います。 感情曲線なんてもののない、ほんのささいな出来事でしょう。 しかし、そのささいな日常というものは、奇跡的で幸福で尊いものだと僕は感じています。 もしかしたら、単身赴任から帰ってきたばかりの父や子や夫を起こしているのかもしれません。 それと、もしかしたら『成育したペットが飼い主を起こすときに、こんな母性で起こしているのかもしれない。』という妄想とも取れます。 人間の体温は動物よりも低いので、手が冷えていたらきっと動物たちはそれを過敏に感じ取れるのかもしれない…と。 そして、怪我や病気で目覚めない病室での一幕かもしれません。 「早く目覚めて…お願い…」といった、言葉に出来ない“死なないで“という切なる願いとも取れます。 その場合は、最初に書いたケースのような意味で起こせる日々がいかに尊く、またその日常を取り戻したいという想いに繋がるのではないでしょうか。 また、LGBTsはこのようなささいな日常を得るために多くの障壁を乗り越えねばなりません。 パートナーシップ制度によるパートナーの証明の方法が生まれたこと、昨今の認知獲得によって以前よりは家を借りることも難しくなくなってきていること、そんな現代に享受できる『一見すると当たり前な幸福』を噛み締めているとも取れます。 障がい者であれば、パートナーの手を借りねば起き上がれないかもしれないし、ただ生きるだけでもエネルギー消費をするのに働くという無茶をしてどうにか生活や家庭を守っている人は少なくありません。 この短いSSに、僕の想いや願いを込めて全力で書きました。 Twitterにも書けてしまいそうなこの短文に、読み手が持つ日常の様々な愛の形が描けていたらいいなと、そう思っています。
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