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少し前まで賑やかに会話をしながら歩いていた道を今は1人で歩いていた。さっきとは逆の方向に。
フードを被ったまま上に視線を上げると、真っ暗な空は道の電灯と往来する車の光で橙色に染められていた。
飲み会のあとは、他の人がタクシーで自宅に向かう中、家が遠すぎる私は1人でホテルに向かう。いつものことなのに今日はいつもより寂しい。
右手に持っていた袋をぎゅっと前で抱きしめた。
「鈴木」
そのとき聞き慣れた声が私の名前を呼ぶのが聞こえた。
「生田さん…。ど、どうしたんですか」
突然の暖かさに温度差で涙が溢れそうになる。
「ホテルの前まで送るよ。意外と遠いだろ。危ないから」
「ありがとう、ございます」
何故だろう。涙がこぼれた。
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