38人が本棚に入れています
本棚に追加
ソラの部屋。
ソラ、バイオリンをケースから出す。音をひとつ、ふたつ奏でて。
ソラ「分かったよ。なんで俺にカスミが見えるのか。霊感もない俺が、カスミを見つけられたわけが」
カスミ「なあに?」
ソラ「バイオリンだよ。俺も同じなんだ。
もう何年も弾いてない。
……コンクールで失敗したんだ。
うまく弾けないことがくやしくて、俺に勝ったやつが憎らしくて、
そんな自分がイヤになってやめてしまった」
カスミ「……そうだったの」
ソラ「でも本当は、ずっと……もう一回弾きたかった」
カスミ「あたしと同じね(ほほえむ)」
ソラ「きっとバイオリンが、俺たちをつないだんだ。バイオリンの音色がシンクロして」
カスミ「響き合った」
ソラ(バイオリンをかまえて)じゃあ、弾くよ。久しぶりだから、うまく弾けるか分からないけど」
カスミ「ソラくん。ありがとう」
ソラ(黙る)
カスミ「ソラくんが、なんでもできる人だったら、きっとあたしたち、出会わなかったね。
うまくいかないくやしさを知っていたから、ソラくんは、いま、バイオリンを弾くんだわ」
ソラ「……聞いたら、とっとと成仏しなよ」
カスミ「うん。きっと」
ソラ、バイオリンを奏で始める。
きらきら星変奏曲。
最初のコメントを投稿しよう!