4幕

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4幕

数人の通行人。 ソラにスポットライト。 ソラ(独白) 「あれから、四十九日はすぎただろう。 あいつは、無事に成仏できたんだろうか。 幽霊なんて、うそみたいな話だけど。 あいつは、全然怖くなかった。 それどころか、ちょっとかわいい幽霊だった」 スドウ(軽く手をあげて)「おう、ソラ。ひさしぶり」 ソラ「ああ……スドウ。この前は……」 スドウ「小峰カスミのことだよな。あいつ、登校してきたよ」 ソラ(びっくりして)「……は!?」 スドウ(後ずさって)「はっ……て?」 ソラ(スドウに詰め寄って、胸ぐらをつかんで) 「なんだよ、それ! あいつマンションの屋上から落ちたんだろ? 死んだんじゃなかったのかよ!」 スドウ「え? は、離せよ。なんだよ、大声で……」 ソラ、スドウを離す。 スドウ(せき込みながら)「小峰カスミ、ずっと入院していたみたいだよ……。 意識不明の重体だったらしくて……。それが、先日、やっと退院したんだって」 ソラ「死んでない……」 スドウ「なんだよ。ソラ。そんな顔して。生霊でも見たのかい?」 ソラ「い、生霊……?」 カスミ、女子A,Bとともに、談笑しながら登場。 ソラ(大声で叫ぶ)「カスミ!」 カスミ「え?」 キョトンとするカスミ。 ソラ、駆け寄って抱きしめる 女子A・B「きゃあ~!」 ソラ(離して)「さ、さわれる!……お前、成仏したんじゃなかったのかよ」 女子A・B(ひやかすように、はしゃいで)「カスミ、だあれー?」 カスミ「……知らない。どなたですか」 ソラ「お前、覚えてないのかよ、もお~……」(頭をかかえこむ) カスミ(やや引いた様子で)「人違いじゃないですか?」 ソラ「……まあ、いいや。カスミが、生きてるんだったらさ。(咳払いして)あー、その、俺、ソラっていうんだ。よろしく!」 カスミ「え~。ナンパですかあ?」 ソラ「ちがーう! むかつく……!」 カスミ「はーいー?  大体何なのよアナタ、初対面の女の子に抱きついて……」 ソラ「うっ……それは……」 カスミ「いくらあたしが可愛いからって……」 明るく軽やかなメロディ。 カスミと女子ABと、ソラ、わーわー言いあいながら去っていく。 かすむ空に、光こぼれて ~完~ ※「はちみつ林檎」に戻ります!
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