終わりよければ、すべてよし

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終わりよければ、すべてよし

「県大会、出場おめでとう」 元部長の浅葱先輩が、花束を抱えてニッコリしている。 「ああ、どうも……」 琥珀は、モゴモゴとお礼を言って、みそら先輩を振り返った。 こういうのは、普通、女子がもらうものではないだろうか……。 「あたしより、リンゴちゃんが受け取って!」  みそら先輩は、莉子の背中を、ぐいっと前に押し出してくる。 「はい、どうぞ。県大会も、みんなでがんばってね」 「……あわわ、ありがとうございます」 浅葱先輩から花束を受け取って、莉子は、ポッと頬を染めている。 ……またあいつ、赤くなりやがって。 琥珀は、少し気に入らなくて、眉をひそめた。 でもまあ、いいか……。とすぐに思い直す。 莉子も嬉しそうにしているし。 このメンバーで、次は県大会だ。 「ん? どうしたのお? ソラくん。なんかムッツリしてる?」 みそら先輩がニヤニヤしながら、琥珀にまとわりついてきた。 「別に」 「拗ねない、拗ねない」 「拗ねてないし」 茶化すようにグシャグシャと頭をなでられ、琥珀は「触んなって」と、みそら先輩の手を払った。 ふと顔をあげると、橘先輩がこっちを見ている。 「おや? 僕のみそらと、ずいぶん仲がよさそうだね?」 「ち、違う……」 先輩ふたりにイジられて、琥珀の髪は、とんでもなくグシャグシャになってしまった。
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