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会場の「ゆずの葉」をあとにして、みんなで、ゾロゾロと連れ立って歩いていく。
これから演劇部のみんなで「反省会」があるという。
「反省会」という名の、実態はカラオケらしいが――。
引退した浅葱先輩は、そっと一人で帰ろうとしているようだ。
そういえば、浅葱先輩は、歌が下手だって、前に誰かが言ってたっけ。
琥珀は思い出して、意地の悪い笑みを浮かべた。
パッと浅葱先輩の腕をつかまえて、
「なあ、先輩も一緒に行こう?」
「えっ。俺、歌下手だからなあ。みんなで行ってきなよ」
「下手だって噂、聞いたから誘ってんの」
「え~……」
「あ、でも莉子の隣には座んなよ!」
「ふうん。なんで?」
「付き合ってるからに決まってんだろ」
「誰と誰が?」
「俺と莉子が!」
見上げれば、陽の落ちかけた空に、一番星がまたたいている。
部員たちのはしゃぐ声と、はじけるような笑い声が、星の向こうまで、届きそうに響いている。
はちみつ林檎 ~おしまい~
ご愛読ありがとうございました♪♪
次回は、番外編「琥珀と莉子のデート」をお届けします。
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