終わりよければ、すべてよし

2/2
前へ
/196ページ
次へ
会場の「ゆずの葉」をあとにして、みんなで、ゾロゾロと連れ立って歩いていく。 これから演劇部のみんなで「反省会」があるという。 「反省会」という名の、実態はカラオケらしいが――。 引退した浅葱先輩は、そっと一人で帰ろうとしているようだ。 そういえば、浅葱先輩は、歌が下手だって、前に誰かが言ってたっけ。 琥珀は思い出して、意地の悪い笑みを浮かべた。 パッと浅葱先輩の腕をつかまえて、 「なあ、先輩も一緒に行こう?」 「えっ。俺、歌下手だからなあ。みんなで行ってきなよ」 「下手だって噂、聞いたから誘ってんの」 「え~……」 「あ、でも莉子の隣には座んなよ!」 「ふうん。なんで?」 「付き合ってるからに決まってんだろ」 「誰と誰が?」 「俺と莉子が!」 見上げれば、陽の落ちかけた空に、一番星がまたたいている。 部員たちのはしゃぐ声と、はじけるような笑い声が、星の向こうまで、届きそうに響いている。 はちみつ林檎 ~おしまい~ ご愛読ありがとうございました♪♪ 次回は、番外編「琥珀と莉子のデート」をお届けします。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加