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二人の初デート!!
「今度の日曜、プラネタリウム……行く?」
琥珀は、教室で、莉子にスマホの画面を見せて尋ねた。
「プラネタリウム?」
「うん。ほら、『かすむ空に、光こぼれて』の中で、カスミたちが行くだろ? だからその参考にって……っていうか」
「あ、うん。参考に……だね!」
莉子は、うなずいて言った。
「ふたりで出掛けるって、嬉しいな。つきあってから、初めてのデート……だよね」
初めてのデート!
なんでそんなことを、わざわざ、口に出して言うのだろう。
デートという響きの照れくささに、琥珀は、ほとんど圧倒されそうになってしまう。
莉子のことは小学生の頃から知ってるし、ふたりで出かけたことがないわけではない。
しかし、デートと名がつくとなれば、ふつうに出かけるのとは、何か違うのかもしれない。
どう違うか分からないけど……。
「あ、でも!」
莉子が、パンと手を打って叫んだ。
「だったら、みそら先輩も誘ったほうがいいんじゃない?」
琥珀はズッコケそうになった。
わざとか?
わざと言ってるのか?
「それじゃ、やだ」
琥珀は言った。
「え。だって……」
「演劇の参考に……って言うのは言い訳。
ほんとはプラネタリウムじゃなくたってどこだっていい。俺が莉子と二人で、どっか行きたいなって思っただけだから」
莉子は、目をしばたたくと、恥ずかしそうにヘニャリと笑った。
「うん……。ありがとう。わたし、プラネタリウムに行ってみたい」
「じゃあ、決まりな。ここからだと……乗り換え含めて一時間くらいか……」
琥珀は、スマホをいじって場所を確認した。
ド田舎に住んでいるので、どこに行くにしても遠い。
でも移動する時間も、一緒にいられると思うと、琥珀はむしろ嬉しいくらいだった。
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