香子お嬢様、滝の森学園に入られる

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 喜久が心当たりありそうだ。  久野さんには中学生の妹がいると言っていた。  「お姉さんの名前ってもしかして、凪紗(なぎさ)さんかな?」  「ええ、そう。喜久はご存知ですの?!」  「あー、あの人のお姉さんか……妹が同じクラスなんだよ……」  喜久の顔が苦々しくなる。  「久野杏凪(あんな)さんが俺と同じクラスなんだけど、めっちゃ気が強くてワガママ……俺のことなんて言ってきたとおもう?! 『芋臭いね。あんたモテないでしょ』って!!」  喜久が珍しく興奮している。  それにしても随分な言われよう。  姉としては心配です。  「あの人クラスのリーダー格でどんくさい子には容赦ないし、しくったらやいのやいの言ってくるんだぜ?! 転校生だから珍しいのか目をつけられてる。学業で優秀らしいけど、人としてね……俺、久野杏凪さん苦手だ……」  また喜久は大きくため息をついた。
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