香子お嬢様、ご友人を家にお招きする

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 「……そう? 普通よ。おねーちゃんもこれぐらいやったら?」  「それは無理だよー。井上さん、これ全部自分で作ったの?」  「ええ、前日にしましたの。凪紗さん、お味はいかが?」  「超美味しい」  私は凪紗さんが満足気なのを見て安心する。  気になるのは杏凪さんが先程からローストビーフばかり食べていることだ。しかもシャリの部分を避けて。カプレーゼとサンドイッチには全く手をつけてない。  杏凪さんは好き嫌い多いと聞いていたものの、彼女に配慮する必要はあるのかと考えてしまう。予定外のお客様だから。  「杏凪、野菜も食べなよー。ほら、カプレーゼ美味しいよ?」  凪紗さんが注意しても無視する。  「杏凪さん、お口に合うかしら? 随分ローストビーフのお寿司がお気に入りなのですね」  「……はい……まあまあ美味しいですね。張り切って作った感がよく出てるわ」
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